骨盤がゆがむと様々な不調をきたすという話を耳にした方も多いかと思いますが、一方で骨盤がゆがむということはあり得ないというお医者さんや専門家の意見もあります。実際のところ骨盤はゆがむのでしょうか?それともゆがまないのでしょうか?
骨盤は腰の骨とつながっている『仙骨』という骨と、仙骨の両サイドにある『寛骨(上の図の腸骨、坐骨、恥骨をまとめて寛骨と言います)』、仙骨の下についている『尾骨』で成り立っています。そして尾骨は進化の過程で仙骨とほぼ一体化しているため動くことはありません。また仙骨と寛骨は『仙腸関節』として連結していますが、この関節は強固な靱帯でつながっていてほとんど動きません(可動域はわずが2~3㎜程度と言われています)。ですので骨盤自体がねじれたり左右に大きく開いてくるとか片方が上がってくる、という形でゆがむことは交通事故などのよっぽど強い衝撃を受けない限りあり得ないわけです。
ただし骨盤の形自体はゆがまないけど姿勢のゆがみによって骨盤の位置がずれることはあります。たとえば体を横から見たときに腰のラインはなだらかなカーブを描いて反っていますが、デスクワークが長時間続くと姿勢によっては腰が丸まってそのままこわばってしまいます(骨盤後傾)。逆に女性がヒールの高い靴を履いた時はバランスを取ろうとして腰の反りが強くなります(骨盤前傾)。また生活習慣により片側の筋肉ばかりにストレスがかかり続けることで右(もしくは左)側のこわばった筋肉に引っ張られる感じで斜めに傾いてきます。
そしてほかに考えられる要因が1つあります。それは股関節です。股関節は骨盤とももの骨(大腿骨)で成り立っていますが、普段の姿勢や運動不足などの生活習慣によって股関節まわりの筋肉がこわばったり衰えてくると徐々にねじれが生じます。すると骨盤周辺がむくんだり長期間かけて余分な脂肪が着くことで骨盤が広がったように見えてしまいます。またももの骨は重力の影響で加齢とともに変形して外に飛び出してきます。それも骨盤が広がったように見える原因になります。
ということでまとめると
・骨盤の形自体はゆがまない
・骨盤の位置が本来あるべき位置からずれるとゆがんだように見える
・股関節がねじれたりももの骨が変形することも外見上影響する
となります。
最後にわずかに動く仙腸関節ですが、最も動きがみられる時は女性が妊娠・出産する時だそうです。妊娠中の体調管理も大事ですが、出産後に骨盤周辺になるべく負担を掛けないこと、お体をケアすることが大切というわけですね。
illustration by フリーメディカルイラスト図鑑
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